『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』(以下仏祖直指心体要節と称する)は白雲和尚が75歳であった高麗恭愍王21年(1372)、老眼に耐え禅徒らに禅道と禅観の眼目を自覚するよう促し、禅風を伝燈し、法脈を伝承できるように著したもので、その弟子、釈璨と達湛が比丘尼の妙徳の施主となり清州興徳寺で1377年7月に金属活字を用いて印刷した。
『仏祖直指心体要節』は『景徳伝燈録』『禅門拈頌集』など史伝部の多くの仏書を探し求め歴代諸仏祖師の偈、頌、讃、歌、銘、書、法語、問答の中で禅の要諦を悟ったが必要なことのみを抄録し、撰述したものがその主な内容である。
『仏祖直指心体要節』の 「直指心体」とは 「直指人心 見性成仏」という修身悟道の明鬼から採録したもので 「参禅し人の心を直視すれば、その本性がすなわち仏の御心であることを悟るようになる」というものである。本書は韓国の学僧が大教科を終え随意科で学ぶ際に使用される代表的な学習書である。
この本は金属活字を利用して印刷されており、印刷技術をより便利で経済的、校正も簡単にできるようにし、これらはすべて迅速な本の生産に貢献することとなった。また活字印刷術にふさわしい墨、つまり油墨を発明する契機となり、韓国が行った実用的で革新的な活版印刷術は東洋印刷史に非常に大きい影響を及ぼし、ヨーロッパなどに伝わったとみられる。