海印寺蔵経板殿は13世紀 に造られた世界的な文化遺産である高麗大蔵経板8万余板を保存する宝庫として海印寺の現存する建物の中で最も古い建物である。蔵経板殿は正面15間にもなる大規模な二つの建物を南北にきちんと配置している。蔵経板殿南側の建物を修多羅蔵、北側の建物を法宝殿といい、東側と西側に小規模な東・西寺刊板殿がある。
建物は簡素な方式で処理され、板殿として必要な機能のみを有しているだけで、装飾的なデザインは用いず、前・後面の窓と戸の位置と大きさが互いに異なっている。風通しの円滑化、防湿効果、室内の適正温度の維持、板架の陳列装置などが非常に科学的かつ合理的である点は、大蔵経板がこれまで完全な形で保存されている大きな理由の一つとして評価されている。
蔵経板殿は世界唯一の大蔵経板保管用の建物であり、海印寺の建築技法は朝鮮初期の伝統的な木造建築様式を見せているが、建物自体の美しさはもちろん、建物の中の適度な換気と温度・湿度などを自然に調節できるように設計された建物である。
この板殿には81,258板の大蔵経板が保管されている。文字数は実に5千2百万字と推定されているが、これらの文字、一つ一つには誤字・脱字が無く、全て均一で精密であるという点から保存価値が非常に高く、現存する大蔵経の中でも最も長い歴史と、完璧な内容をもっていることから世界的に名声を得た文化財である。