韓国は伝統的に稲作が多く行われてきた国として、ほどんどすべての生活基層に稲作文化がある。
カンガンスルレはこのような韓国の稲作文化を最も象徴的に表現する歳時風俗の一つである。
カンガンスルレは歌、舞踊、音楽の三位一体の形で構成される原始集合芸術として韓国特有のバラードダンスである。踊る女性の中で歌が上手な一人が前歌を歌い、続いて全員で後ろの歌を歌うという先後唱形態で歌われ、歌に合わせて多くの女性達が手に手をとって、丸く円を描いて踊る。民謡と民俗舞踊が一体化し、止まらず太鼓や鼓など韓国の伝統的な農楽器で伴奏して民俗音楽に興を乗せる。カンガンスルレは夕暮れの月が昇る時に始まり、月が西の山に傾くまで遊べるほど楽しく力動的である。前歌をする人の曲調の速さによって遅いカンガンスルレ、中くらいのカンガンスルレ、速いカンガンスルレに区分されるが、歌の早さによって、手をつないで走る女性の足の動きの速さも変わる。また、この三つは、形は同じながらも速さを異にするのに対して、クサ亀ノリ、ワラビ折ノリ、青魚編みノリ、瓦踏み、ムシロ巻き、ねずみの子ノリ、大門ノリ、窯灯踏み、ハンカチ探し、奉仕ノリなど多様で附帯的なノリが途中途中で取り入れられたりもする。また、夜通し歌詞を変えて歌う歌は女性の人生の哀歓がこもった民衆の詩として文学性が豊富な口碑文学でもある。
伝統的にカンガンスルレは韓国の代表的な歳記節気の正月、陰暦正月15日、端午、陰暦7月15日、中秋、9月9日夜に行われ、特に8月中秋の夜に大々的なカンガンスルレが開かれていた。そして、韓国の大名節の中秋の夜に行われる民俗的公演芸術として発展することになる。
カンガンスルレは名節を楽しんだ集団的女性の民俗踊りに留まらず社会文化的役割も行い、世代から世代に繋がる伝承を通じて女性のアイデンティティーを形象して堅固にする機能まで遂行した。